流れの比較的ある平瀬や早瀬に主に生息している。川底に沈んだの石礫や植物片の間に絹糸を使った捕獲網を張り、そこに引っかかった動物の死体などを主食としている。河川の生態系において物質の分解を助ける重要な役割を担っており、このグループの多く住む川は良い川だとされている。
このグループにはシマトビケラ科、ヒゲナガカワトビケラ科の2科が含まれる。
※ 2009年3月現在、住吉川ではヒゲナガカワトビケラ科は確認できていません。このページに掲載している写真は部員が寄贈した個体を撮影したものです。
↑ シマトビケラ科幼虫の生体写真 ※ 住吉川産ではありません。 |
↑ 造網型トビケラの住む自然 2005年 六甲山にて撮影 |
↑ ヒゲナガカワトビケラ科幼虫の生体写真 ※ 住吉川産ではありません。 |
・体長は最大で体長約3pほど。
シマトビケラ科幼虫は小型で大きくても1pほど。ヒゲナガカワトビケラ科幼虫はトビケラの中でも大型で、終齢だと3p近くに成長する。
・固着巣の入り口に捕獲網を作り、その中で暮らす。
固着巣自体は石礫や植物質を絹糸で縫い合わせて作られる。固着巣の材料と捕獲網の形で同定が可能。
固着巣は主に大きめの石礫が材料で、捕獲網はそれらを繋ぐ吊り橋状である。→ヒゲナガカワトビケラ科
主に植物質や砂礫が材料で、捕獲網は漏斗状である。→シマトビケラ科
(参考:造網型トビケラ幼虫の固着巣と捕獲網)
・腹部に房状エラを持つものがある。
造網型トビケラでエラを持たないものはヒゲナガカワトビケラ科幼虫と判別できる。(参考:トビケラ幼虫の腹部エラの比較)
・尾脚の先には長い毛が生える。
尾脚の先に爪を持つグループもある。尾脚の形態はトビケラ幼虫を同定する上でかなり重要なポイントである。
(参考:ナガレトビケラ幼虫の尾爪とシマトビケラ幼虫の尾脚毛)
より詳しい分類のポイント
・造網型トビケラ幼虫の判別法
シマトビケラ科幼虫とヒゲナガカワトビケラ科幼虫は形態に大きな差があるため、その判別は容易だ。以下にそのポイントとなる項目を一覧にまとめておくので参考にして欲しい。
シマトビケラ科 | ヒゲナガカワトビケラ科 | |
頭部の形 | 楕円形 | 長方形 |
胸部のキチン板の数 | 前胸部、中胸部、後胸部の3枚 | 前胸部のみの1枚 |
腹部エラの有無 | 房状エラを持つ | エラは持たない |
尾脚の先の形 | 尾脚の先には毛が生えている | 尾脚の先には爪を持つ |
(参考:造網型トビケラ幼虫の同定の根拠一覧)
2科の造網型トビケラが共存する場合は、シマトビケラ科幼虫は上流から中流に多く生息するのに対し、
ヒゲナガカワトビケラ科幼虫は下流で多く確認される傾向にある。
紛らわしい種類
トビケラ目 匍匐型 |
アミメカゲロウ目 匍匐型 |
コウチュウ目 匍匐型 |
更新履歴
2010-03
トビケラ目造網型を大規模改訂。画像を差し替え。
トビケラ目造網型を大規模改訂。画像を差し替え。