背中に様々な携帯巣を持つのが特徴のグループで、それぞれの巣の材料が十分に確保できる流域に生息している。例えば落ち葉や枝などの植物片を材料とする種は森林や林を流れる上流域に住み、砂礫や石礫などの鉱物片を材料とする種は十分に砕けた砂粒が多くある中流から下流域に住む、といった具合に見事に棲み分けている。
このグループにはヒメトビケラ科、ヤマトビケラ科、コエグリトビケラ科、エグリトビケラ科、ニンギョウトビケラ科、クロツツトビケラ科、カクツツトビケラ科、マルバネトビケラ科、カクスイトビケラ科、トビケラ科、ヒゲナガトビケラ科、フトヒゲトビケラ科、アシエダトビケラ科、ホソバトビケラ科、ツノツツトビケラ科、ケトビケラ科、カタツムリトビケラ科の17科が含まれる。
※ このグループには住吉川で未発見の科も多く含まれているため、以降の解説は生体と画像を入手しだい随時追加していきます。
↑ コカクツツトビケラ幼虫の生体写真 2007年1月 住吉川にて撮影 |
↑飼育下のニンギョウトビケラ幼虫 2007年2月 部室にて撮影 |
↑ グマガトビケラ幼虫の生体写真 ※ 住吉川産ではありません |
・体長はほとんどが1pほど。
最大種のムラサキトビケラ幼虫は4pを超える。住吉川で現在確認されている最大種はマルバネトビケラ科幼虫で、終齢間際の大型個体は3pになる。
・各種がそれぞれ特有の巣を背負い、移動生活を送る。
巣の材料や形で分類が可能。(参考:携巣型トビケラ幼虫の巣の比較)
・携巣型幼虫本体からの同定は大変難しい。
巣以外の手がかりからの判別も不可能では無いが、難易度は格段に上昇する。(参考:トビケラ幼虫の体型の比較)
より詳しい分類のポイント
・可携巣(ケース)を用いた携巣型トビケラ幼虫の科レベルでの判別法。
携巣型トビケラ幼虫が背負うケースは種によって形も材料も様々であるが、科レベルまで持ち上げて考えるとある程の度法則性が確認できる。
以下にそれをまとめるが、例外があることも考慮に入れて参照して欲しい。
□植物片を材料とする
カクスイトビケラ科 :円錐形もしくは角錐形
エグリトビケラ科 :枝乱雑にを束ねた蓑虫状
カクツツトビケラ科 :角柱形(若齢の時は砂礫が混じる)
マルバネトビケラ科 :植物片(住吉川では主に落ち葉)をまとめた蓑虫状
(ヒゲナガトビケラ科) :一部植物片(枝)を利用
□鉱物質を材料とする
ヤマトビケラ科 :半楕円形のドーム状ニンギョウトビケラ科 :太めの円柱形だが巣の両側に複数対の翼石(大きめの石)を持つ
フトヒゲトビケラ科 :太めの円柱形でたいへんもろい
ケトビケラ科 :細い角状
(エグリトビケラ科) :材料に一部砂礫が利用される
ヒゲナガトビケラ科 :細い角状
□絹糸のみを材料とする
※ 住吉川では確認されていないが標本は収集した科には下線( )で、
住吉川では確認されておらず標本も収集できていない科には取り消し線(
(参考:
更新履歴
2010-03
トビケラ目を大改訂。
トビケラ目を大改訂。