住吉川生き物案内 ガイド

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地獄谷ポイントの特徴

地獄谷ポイント解説 灘校生物研究部

地獄谷の砂防ダム。
地形が激しすぎて、安全に近づける場所は限られています

地獄谷は住吉川の上流に当たる西谷川流域の呼び名で、両岸が深く鋭いV字型の谷になっており、文字通り地獄のように険しい地点です。渦森台と五助堰堤の両地点のようにアクセスも良くなく、部員からもっとも敬遠されるポイントです。

川底の質は砂礫と枝葉が半々程度で、流れはほとんどありません。しかし、付近に砂防ダムがあるので増水するたびに激しくかき回されることになります。そのせいか、部員が降りているのは猫の額ほどの狭い河原なのですが、驚くほど多くの生物が見つかります。

季節ごとに通うことも難しい難所ですので足が遠のきがちな時期もありましたが、これからも観測を続けていきたいポイントです。


地獄谷ポイントの自然

渦森台ポイントと同じく、本地点で魚類の姿はほぼ見られません。この場所に住み着いているというよりは上流から流されてきてここに引っかかっただけ、と考えられます。観察されるのはほとんどがヨシノボリです。彼らは腹部に強力な吸盤を持つため、急峻な上流部にもある程度定着できるのでしょう。

地獄谷の大きな特徴として、大型の生物が見つからないことがあげられます。魚類、水生昆虫、両生類など、ほとんどが1pほどです。これは大きな個体は増水時に流されてしまうからなのでしょう。六甲山中には同じような場所がたくさんあり、タイドプールや藻場のように幼齢幼虫や幼体の絶好の隠れ家となっています。これも多様性を維持するための仕組みの1つなのかもしれませんね。

オナシカワゲラ幼虫 地獄谷ポイント解説 灘校生物研究部

↑オナシカワゲラ幼虫
意外と汚れに強く、中流部まで見かけます

ナガレトビケラ 地獄谷ポイント解説 灘校生物研究部

↑ナガレトビケラ幼虫
肉食ですが、小さいのでヤゴやカワゲラに勝てないせいかあまり見かけません

上にも書きましたが意外なほど多くの種類が見つかる地獄谷。主なものをあげていきますと、オナシカワゲラなど小型のカワゲラ類、マダラカゲロウやヒラタカゲロウなどカゲロウ類、そしてナガレトビケラなどトビケラ類です。実はカゲロウやトビケラにも肉食の種は存在します。こういった小さな生態系ではそういった小型の肉食種の影響力が大きいようで、草食種を食べ尽くしてしまったのか肉食のものしか見つからない時もありました。

珍しいところでは、このあたりではハリガネムシが良くとれます。山間部なのでカマキリやバッタなど直翅目が多いのでしょうか。冬場に訪れると落ち葉や折れ枝にからみついてすさまじい絵面になります。新人達はたいていそれが生きた寄生虫なのだと気がつかず、手に持ったところで教えられて驚かされるのが恒例行事です。

さらにアミカやブユなどハエ類の幼虫もこのあたりで良く取れます。ハエと聞くと汚れた排水路をイメージしてしまうかもしれませんが、そういった過酷な環境に適応できるのはほんの一握りで、ほとんどは綺麗な水を好むのです。彼らはカギや吸盤をもつので増水にも強く、おそらくこの場で繁殖していると思われます。その証拠に……虫刺されで毎回ひどい目にあいますから(汗)

アミカ幼虫 地獄谷ポイント解説 灘校生物研究部

↑アミカ幼虫
本当に上流部にしかいないが、たまに流された固体が見つかる

ハリガネムシ 地獄谷ポイント解説 灘校生物研究部

↑ハリガネムシ
カマキリでおなじみの奴。確かにこれは言われないとわからない

植生についてはほとんどが草本で、それも上流から流されてきたものが定着しただけでしょう。日照が悪いので陰性の植物が生育するはずなのですが、頻繁に大雨で流されてしまうせいか、訪れるたびに植生が変わっています。

近くに道路は通っているのですが人気はあまりないので、鳥類はにぎやかです。生研がよく調査する夏ではウグイスが良く鳴いています。鳥ではありませんがヒグラシの声も目立ちますね。季節によって様々な鳴き声が聞こえるので、いずれは一年を通して調査してみたいところです。


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