住吉川生き物案内 ガイド

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五助堰堤ポイントの特徴

五助堰堤ポイント解説 灘校生物研究部

五助堰堤付近の湖
付近に倒木が並べてあり、多くの人々がここで一休みする

巨大な五助ダムの直上にある地点です。堆積した土砂の上に定着した植生と流れる渓流が美しい地点で、10年前に一番最初に観測が行われた記念すべきポイントです。せき止められた大きな沼地や湖があり、ここでしか見られない生物がたくさん暮らしています。

太陽と緑の道という山道が側を通っているため登山やハイキングのために多くの人々が訪れ、渓流、山林、湖畔、という景色の良さから憩いの場となっています。我々が観測していても通りかかった多くの方々が挨拶を交わしてくださり、「さっきセキレイを見たよ、こんな上の方まで上がってくるなんて珍しいね。」などと貴重な情報をいただけることもしばしばです。

山道を通るルートの他にも、近くの住宅地までシャトルバスで移動してから遊歩道を渡るルートもあり、こちらは歩く距離が減る上にずっと日陰なので体力のない新入生でも訪れやすく、多くの部員が五助ダムでデビューを飾ります。

もし万が一のことが起きた時に、周りに人がいれば助けを呼べるというのも恥ずかしながら大きいですね。鍛えられた高校生はともかく中学生はとにかくスタミナがないので、調査地点は慎重に選んでいます。


五助堰堤ポイントの自然

渦森台、地獄谷の両地点とは違い、五助堰堤にはたくさんの魚類が暮らしています。まず渓流部にはおなじみのヨシノボリ。湖畔部にはオイカワやカワムツ、そしてタカハヤが生息。続いて両生類も多く見られます。オタマジャクシは五助以外ではあまり見かけません。また、最近ニホンイモリが発見され部員を驚かせました。小さな水たまりでも見かけるので、雨の日にかなりの距離を移動できるようですね。

水生昆虫の層も厚く、大小様々なカワゲラ類、ヒラタカゲロウ類、携巣トビケラ類に、そしてユスリカ、ブユなど貧腐水性を好む種がそろい踏みです。この地点で特徴的な水生昆虫といえばモンカゲロウ類でしょう。3p近い大きさがあり泳ぐのが得意のため、水面からみると魚と区別がつきません。

鳥類、魚類、両生類、と上位捕食者がそろっていますので、水生昆虫は基本的に補食される側です。しかし彼らが繁栄しているからこそ、多くの捕食者が生活できて、中型の猛禽などさらなる食物連鎖が広がっていくのでしょう。

オタマジャクシ 五助堰堤ポイント解説 灘校生物研究部

↑オタマジャクシ
遊泳力がないのですぐに流されます

五助堰堤の魚類 五助堰堤ポイント解説 灘校生物研究部

↑捕獲した魚類
このときはカワムツとタカハヤが多かった

植生は非常に豊かで、光を好む陽生植物と日陰を好む陰生植物の両方がバランス良く見られます。人間の出入りが多いので、常に環境が攪乱されているから、遷移が進まないのでしょう。

※自然は移り変わるものと言いますが、人間が手を加えなければ文字通り変化し続けます。それを遷移とよび、表六甲はあるがままにまかせれば照葉樹が優越する地域です。しかし人間があたりを切り開いたりと手を入れることで、また別の変化をするのです。田園や里山などはこちらですね。田んぼは自然の象徴で、里山を保全すると言えば、自然を保護することだと勘違いしている人はかなり居るのではないでしょうか。実は人間が暮らしやすい環境を維持しているだけなのですよ。人が手を入れなければ山が死ぬといいますが、死ぬところまで含めて自然なのです。死がなければ次の生も始まらないのですから。里山という固定された環境を保護=維持することは、逆に不自然であるというのはいろいろ考えられさせます。

モンカゲロウ幼虫 五助堰堤ポイント解説 灘校生物研究部

↑モンカゲロウ幼虫
フサフサしているのはエラで、エレベーターのように動きます

道中の砂防ダム 五助堰堤ポイント解説 灘校生物研究部

↑道中で休憩地点にしている砂防ダム
ダムほどの巨大な人工物も、時間がたてば緑に沈むのだと思い知らされる景色です

鳥類も非常に多く見られ、斜面を見渡せるあたりでは上にもあげましたが中型の猛禽まで見られます。おそらくはトビかノスリでしょう。空を悠々と舞う姿は、まさしく空の王ですね。彼らは身体が大きいので空を飛ぶのに大きなエネルギーを使います。それを少しでも節約するために上昇気流を利用して身体を持ち上げます。山の斜面には上昇気流が出来やすいので平野の都市部よりも、山の裾野あたりの方が大型の鳥が集まりやすいわけです。 ※東灘といえば六甲おろし、つまり強力な吹き下ろしの風が有名です。しかし下降気流があるということは、その周囲で逆向きの空気の動き、強力な吹き上げる風もあるということ。六甲の裾野では複雑に入り組んだ上昇気流が発生しており、それを利用する鳥を観察するための格好のバードウォッチングスポットとなっています。


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