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渦森台ポイント最大の特徴は、2つの砂防ダムの間に蓄積された岩石による河原です。 下流部には砂礫しか流れてこないので、大岩が転がった珍しい地点として良く観測が行われます。
土砂は多いですが流れが速く、水質はきわめて良好です。水流がある部分は透明度が高く、水が溜まっている部分は濁っています。それぞれの環境を好む種類が違うので、さまざまな生物が住み分けています。
源流に近く川の異変を察知しやすいので、内部合宿の日程で天候が崩れたときはこの地点に来ることが多いです。流れてくる水が濁り始めたら直上にある砂防ダムに水が貯まり攪拌が始まった目安ですので、直ちに川底より高さのある住宅部に避難します。
新興住宅地の側なのでバスが通っているというのも魅力的です。 まだ体力のない新入生をはじめて上流部に連れてくる時はアクセスの良好な本ポイントが選ばれます。
ダムで挟まれているため魚の数が少ないのが特徴です。岩場に貼り付ける小型のヨシノボリが主な魚類となります。となれば捕食者がいないため水生昆虫の数が多そうに思えますが、増水で流されてしまうので上流部の他の地点と比べてもあまり変わらないようです。
魚類の少ない本地点では主な捕食者は大型のカワゲラ類です。終齢の育ちきった幼虫は3p近くにもなり不慣れな中学生でもすぐに見つけられます。カワゲラは羽化まで何年もかかる種が多いので、年中いつ来てもその姿を見ることができるのもポイントですね。(カゲロウなどは一年で羽化する種が多く、季節によってはまったく見られないこともあります)
そんなカワゲラ達が主に餌としているのがカゲロウ類とトビケラ類です。岩場の裏にできる溜まりにコカゲロウやマダラカゲロウといった小型のカゲロウ、ヤマトビケラやニンギョウトビケラといった砂礫を巣とする小型のトビケラが多く見られます。六甲山中の他のポイントでは多く見られるヒラタカゲロウとシマトビケラはこのあたりではあまりみかけません。おそらく成虫の遡航ルートから離れているのでしょうが、観察を続けていきたいと思います。
※水生昆虫は幼虫の頃水中で暮らすのでどんどん下流に流されてしまい、いずれは海にまで押し出されれ死んでしまいます。つまり成虫になるまでに海に流されないように十分に上流に卵を産む必要があり、羽化した成虫は我が子のために川を遡る長い旅を行うのです
本地点では鳥類はほとんど姿を見せません。住宅地が近いからか、山中で聞こえるはずのツグミなどの鳴き声もずいぶんと遠いです。逆に、スズメが水浴びをしていたという報告がありますが、小型の山鳥と間違ったのかもしれませんね。
植生として特筆すべきは、この一体の樹林はすべて二次林ということです。六甲山は一度は頂上部を残してはげ山になっており、その後人の手で植林が行われました。渦森台周辺は当時から生き延びているだろうコナラがまだみられますが、やがてはより競争力の強い照葉樹に取って代わられていくのでしょう