マダラカゲロウ類幼虫の同定に際して注視すべき点は頭部の形、胸部の形、前腕の形の3つだ。以下にそれぞれの要点を述べる。
T頭部前縁突起をもちいた同定
頭の先に生えているトゲの形や本数を調べることである程度の分類が可能である。以下に我が部でこれまでに確認された個体の中から例を示す。
↑クロマダラカゲロウ幼虫の頭部 |
↑ヨシノマダラカゲロウ幼虫の頭部 |
クロマダラカゲロウ幼虫の頭部には目立った突起はないが、ヨシノマダラカゲロウ幼虫のものには大きなトゲが2つ確認できる。
U前胸部をもちいた同定
胸部の形は各種マダラカゲロウによって様々であり、地域変異も少なく同定の材料になる。しかし幼虫の体は脱皮を行うたびに大きく変化するため、この方法は羽化直前の終齢個体には効果的だが若齢幼生にはほとんど対応できない。
↑クロマダラカゲロウ幼虫の胸部 |
↑オオマダラカゲロウ幼虫の胸部 |
↑シリナガマダラカゲロウ幼虫の胸部 |
オオマダラカゲロウ幼虫とシリナガマダラカゲロウ幼虫は中胸部に突起を持つため分かりやすい。クロマダラカゲロウ幼虫は胸部が緩やかにふくらんでおり、これはトウヨマダラカゲロウ属共通の特徴だ。
V前腕部腿節突起をもちいた同定
一部のマダラカゲロウは前脚に特徴的な突起を持つため、同定の判断基準となりえる。とはいえ、腕部は破損していることが非常に多いため、参考程度に考えるのがいいだろう。
↑クロマダラカゲロウ幼虫の前腕部 |
↑ヨシノマダラカゲロウ幼虫の前腕部 |
クロマダラカゲロウ幼虫の前腕には目立った突起はなくすらりと細いが、ヨシノマダラカゲロウ幼虫のものには大きなトゲが2つみられ太く逞しい。