河川の上流域から中流域に生息する、カワゲラ目の中ではもっとも一般的なグループ。水中の浮き石の裏側や水底に溜まった落ち葉の中などの暗所を好むものが多い。基本的に肉食で他の小型水生昆虫を捕食して暮らしている。警戒心が強く危険を感じるとすぐに隠れてしまうため、水中で観察するのは大変難しい。湿り気があれば陸上であっても短時間ならば活動が可能なようだ。
このグループにはカワゲラ科、アミメカワゲラ科、ミドリカワゲラ科、クロカワゲラ科、オナシカワゲラ科、シタカワゲラ科、トワダカワゲラ科の7科が含まれる。
※クロカワゲラ科、トワダカワゲラ科の2科は2009年12月時点で住吉川では未発見。特にトワダカワゲラ科は兵庫県内での報告もなく、発見は絶望的と考えられる。
↑ カワゲラ科幼虫 2007年2月 六甲山にて撮影 |
↑ 水底に溜まった落ち葉の間は 彼らの絶好の隠れ家だ |
↑ 飛沫帯で暮らすカワゲラ科幼虫 2005年7月 六甲山にて撮影 |
↑ シタカワゲラ科幼虫 2007年3月 六甲山にて採集 |
・体長は最大で2pほど。
特にカワゲラ科の幼虫に大型の個体が多く、2.5p近いものも観察される。※ カワゲラ目幼虫といえば大型個体と思いがちだが、すべての幼虫が大きいわけではない。例えばオナシカワゲラ科の幼虫などは成熟した幼虫でも1pを超えることはまずく、カゲロウ目などと比べても小さく見えることがある。このような思いこみは思わぬ同定ミスを招くことがあるので注意した方がよいだろう。
・2本の尾を持つ。
幼虫の尾の本数が2本と3本の2通りあるカゲロウ目とは違い、すべてのカワゲラ目幼虫の尾は2本である。・足の付け根、足の前脛、尾の付け根などに房状のエラを持つものがいる。
これらのエラの有無で分類が可能な種がある。前胸・中胸・後胸の側面にそれぞれ房状エラを持つ→カワゲラ科
持たない→その他のカワゲラ目
(参考:カワゲラ科幼虫の房状エラの生え方)
※ オナシカワゲラ科フサオナシカワゲラ属のみ頭部と胸部の間に房状エラを持つ。
(参考:オナシカワゲラ科フサオナシカワゲラ属幼虫の房状エラ)
・一部のカゲロウ類と大変よく似ている
足の爪の数で簡単に区別できる。足の爪は1つ→カゲロウ目 遊泳型 カゲロウ目 匍匐型
足の爪は2つ→カワゲラ目 浮き石-匍匐型
(参考:カゲロウ幼虫とカワゲラ幼虫の見分け方)
より詳しい分類のポイント
・カワゲラ目浮き石-匍匐型幼虫の科レベルまでの検索例
前胸・中胸・後胸の側面にそれぞれ房状エラを持つ→カワゲラ科持たない→下段へ続く
(参考:カワゲラ科幼虫の房状エラの生え方)
上段より 腹部第9節の腹板が後方に発達する→シタカワゲラ科
そうではない→下段へ続く
(参考:シタカワゲラ科幼虫の特徴と判別)
上段より 下唇の中舌は側舌よりも短く目立たない→
ウィングパッドが胸部から真っ直ぐに伸びる→ミドリカワゲラ科
胸部から斜め後方に飛び出す→アミメカワゲラ科
(参考:カワゲラ目幼虫の下唇による判別)
下唇の中舌と側舌は同じ長さ→
ウィングパッドが胸部から真っ直ぐに伸びる→クロカワゲラ科
胸部から斜め後方に飛び出す→オナシカワゲラ科
(参考:カワゲラ幼虫のウィングパッドの形状の比較)
紛らわしい種類
カゲロウ目 遊泳型 |
カゲロウ目 匍匐型 |
カワゲラ目 掘潜型 |
更新履歴
2010-06シタカワゲラ科についての記述と画像を追加。