住吉川の河川調査

詳説版
 生物学的調査  (生物的調査)

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 ・ 住吉川に生息する生物(製作中)

 生物学的調査の位置づけ

 河川観測において生物学的調査が利用される最大の理由は、少数回の調査から以前の 状態までさかのぼって対象となる川を知る事ができる点にある。その地点における生 物の生態環や周辺地形との関係を調べる事によって、少ない労力でその川が今までに たどってきた推移や現在の状況を把握する事ができるからだ。

住吉川で発見したアユ

 しかし生物 学的調査のみではある種類相は常に安定している、極端な種類相の変化があるなどの 結果を知る事はできてもその原因は推測に頼るしかない。  例えばある川で生活廃水の流入部の上 流と下流で明らかな生態系の変動が確認されたとする。ここで流入した排水による水 質汚染がその原因ではないかと推測する事はできても、それを生物学的な視点から確 かめ、立証する事は大変難しい。汚染の流入の他にも、前日の天候による影響や周辺 の地形の変化、護岸工事の有無、など原因となり得る事象は数え切れないほど残って いるからだ。  そこで生物学的調査以外にも化学的な調査や地理的、物理的な調査も並 行して行い、互いの調査結果から総合的に判断することによって、より正確にその原 因因子を探るのである。

住吉川で発見したヒラタカゲロウ

 なお生物学的な調査を行う際には生物相は常に変動するも のであるという事を必ず念頭に置かねばならない。水生昆虫を例に挙げるなら、種類 数、生息個体ともに数冬から早春にかけて最も多く観測されるが、夏場には羽化が集 中する為両者ともに激減する。 このように調査を行う時期によっても大きく結果が左 右されるので、四季を通して定期的に調査を行うなど工夫を加えた上で、指標のばら つきや地形条件などもふまえて総括的な判断を下す必要があるのである。

住吉川で発見したカルガモ
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