住吉川の河川調査

詳説版

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何故「河川調査」なのか?

 近年になって、新聞やテレビなどで「自然保護」や「環境保全」といったキーワードが取り上げ られる事が多くなってきました。
 「エコ」や「リサイクル」をテーマにした活動は各地で盛んになって来ており、05年の「クール ビズ」などもその一つであると言えるでしょう。

 このような社会の動きの背景には、世界の各地においてかつてない程のスピードで熱帯雨林が消失 し、砂漠が町や森を飲み込んで行き、氷河が溶け始めているという紛れも無い事実があります。
 しかし、いきなり「1秒間に0.5ヘクタールの熱帯雨林が失われている」と教えられてもイマイチ 実感は湧きにくいですよね。

 どうしてもテレビ画面の中の遠い世界の話だから、やっぱり自分には関係ないよと思ってしまい がちです。

 職場の同僚や家族に言われて、こまめに電気を消して、車のエンジンもアイドリングストップ。
 確かに「自分は今地球に優しい事をしているんだ」と思えば、なんとなく気分はよくなって来ます。
 でも、それを続けなければ明日の地球が危ないというような切実な思いはそこには存在しないだろうし、 やはり自分の身の周りの事として受け止められないのはそこでも変わらないのです。

 また、都会に生きる僕たち現代人はどうしても自然は自分とは遠いものだと思ってしまう傾向にある ようで。

 自然というのは、週末の連休や夏休みにハイキングや家族旅行としてわざわざ見に行くもの。「大自 然を満喫する...」なんていう旅行社のパンフレットは、案外その象徴ではないでしょうか。
 「大自然のゆりかごの中で生かされている」なんてうまい表現を口では使いながら、「自分の外側に 自然がある」という考え方は僕達の頭を少しずつ侵食しつつあるのかもしれません。

 しかし。

 もちろん、実際に人が生活していく上で「私は一切自然に頼らず生きて行きます」というのはあまり にも無茶な話です。
 野菜や肉、魚などの食料はもちろんのこと、ガソリンや鉄だって元を正せば自然の産物です。絶えず 自然から何かを得なければ生きることの出来ない存在。大草原を駆ける動物達だけに限らず、人間だって そういった生き物の一つに過ぎないのです。
 こういった類の話も「頭では理解できている」、つまり最初に述べた実感の湧きにくい話だったりする のですが、そこで一度立ち止まってみるのはとても重要な事です。

 毎日ビルの林立するオフィスなんかで過ごしていると、どうしても自分から遠ざかりがちに思える 自然。こんな状態で自然と自分の関係について考えようといわれてもいささか無理があるように感じ られますが、そこで「身近な自然」に視線を移すことで、意外な所から答えは見つかるかも知れません。

 例えば、貴方は普段会社や学校に向う時、満員の通勤電車がわたる鉄橋の下に川があるということを 忘れてはいないでしょうか。そして、その川も大切な自然の一部であるということを。

 川と言うのは――特に都会を流れる川と言うのは、完全な自然でなく、ヒトの手の加わった自然が 広がっている場所です。しかし、だからこそ自然と人間の接点がそこにあるはずなのです。「ゆりかご の中」をいきなり実感しようとするのは難しい。まずは自然と自分の距離を縮める事。そこから始めて みませんか?


 灘校生物研究部では、都会を流れる住吉川の観測を行って身近にどんな生き物がいるのか、またそれらの 生き物がどんな環境に住んでいるのかを調べています。大雨の後には水中にすむ小さな水生昆虫達はどうなった のか、夏に川の水が少なくなった時魚はどうしているのか。それらは全て、貴方が何気なく渡っている橋から 十メートルと離れていない世界で起こっている出来事です。

 僕達がこの場所で発信する住吉川の情報――身近な自然の姿が皆さんの「立ち止まる」機会となれば、 と思って止みません。


 無論、ここにいる僕達はただの高校生に過ぎません。間違いの指摘や意見など、気付かれた方は ドンドンご意見を下さい。

 そして一緒に、自然と人間の関係について考えていきましょう。

灘校生物研究部 部員一同
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