環境条件および各種物質による
ミジンコ心拍数実験

                           H1-4 大野 峻

・目的
 環境条件や各種物質がミジンコの心拍数にどのような影響を与えるのかを知るため。

・実験の前に
 実験を始める前にまず、やらなければならない事。それは、ミジンコを入手する事です!ミジンコがいなければこの実験を始められる訳がありません。
 という訳で僕はミジンコを入手するため、様々な方法を試みました。しかし、入手しようとしたのは10月だったので次の3つの方法ぐらいしかありませんでした。

1、耐久卵を孵す方法

(1)耐久卵って何?
ミジンコは普段は単為生殖でメスばかりなのですが、環境が悪くなると、(例えば、水温が低くなったりすると)オスが出てきて、耐久卵という特別な卵を作ります。この耐久卵はとても丈夫で乾燥や温度変化に耐える事ができます。耐久卵は単性卵(単為生殖による卵)のようにミジンコの体内で育てられるのではなく、体外へ出され、川や池の底の砂利の中で環境が良くなるのを待ちます。ちなみに産み出されてから数百年経ったものでも孵ることがあるそうです。

(2)耐久卵を孵そう!
  耐久卵を孵すため、僕は住吉川から砂利を採ってきました。早速、水槽に入れ、水を満たしてみました。数日後、水槽を見てみると、なんとミジンコらしき1匹の生物が発生していたのです。野口会長によるとこれはケンミジンコで、単為生殖は行わないそうです。残念。
  さらに数日後、僕は信じられない光景を目の当たりにしました。なんと水槽の中で数十匹のハエや蚊が発生していたのです。そう、ウジやボウフラが羽化したのです。蓋をしていたので、幸い大した被害は出ませんでしたが、このような事は毎日起こりました。そして、とうとうミジンコは発生しませんでした。

2、風に任せる方法
  乾燥した田んぼなどに残った耐久卵は風で飛ばされるという情報を得たので、僕は早速ベランダに水を張った水槽を設置し、風で飛ばされてきた耐久卵が水槽内で孵る事を期待しましたが、結局無理でした。

3、購入する方法
   最終手段です。もうこれしかありません。という訳で、購入しました。


・この実験に用いるもの
 ・ミジンコ
 ・双眼顕微鏡
 ・ストップウォッチ(カウンター機能付き)
 ・スポイト
 ・アセトンクロロホルム
 ・アセチルコリン
 ・エタノール
 ・緑茶
 ・シャーレ
 ・温度計
 ・ビーカー
 
・実験の手順
1、スライドガラスにミジンコをのせ、カバーガラスで押さえる。顕微鏡で観察し、ミジンコの心臓に焦点を合わせる。
2、計測時間による心拍数の変化を調べます。この際(手順4でも)15秒間での心拍数を1分毎に20分間測定します。心拍数を数える時に、心拍のリズムに合わせて紙に点を打ち、後でその数を数える方法をとるつもりでしたが、偶然カウンターが手に入ったので、それを使うことにしました。
3、シャーレにそれぞれの温度の水を入れ、そこにミジンコを5分間入れた後、温度による心拍数の変化を調べます。
4、約20℃に保ちながら、シャーレに各液体を入れ、そこに5分間ミジンコを入れた後、心拍数の変化を調べます。
(1)麻酔物質であるアセトンクロロホルムを使用する場合は、0.05%の溶液にして使用します。
(2)神経伝達物質の1つで、収縮する刺激を筋肉に伝える物質であるアセチルコリンを使用する場合は、1%の溶液にして使用します。
(3)エタノールを使用する場合は、2%にして使用します。
(4)緑茶(カフェイン入り)を使用する場合は、原液で使用します。

・実験の結果
                        ※心拍数は3回の平均です
温度による変化
温度 5度 10度 15度 20度 25度 30度 35度
心拍数 57 54 57 61 66 74 56
計測時間による変化           ※上が時間(分)下が心拍数(回)です
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
72 69 71 65 63 64 62 59 58 58 57 54 52 50 55 49 50 48 44 54
  アセチルコリン使用
残念ながら、今回アセチルコリンが手に入らなかったので実験データはありません。しかし、もうすぐ手に入る予定ですので来年にご期待ください!

  エタノール使用
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
46 48 47 47 48 47 47 46 45 43 44 43 43 43 43 42 42 43 43 42
  緑茶使用
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
50 49 51 51 49 48 47 49 46 45 44 43 43 41 41 42 41 41 44 45

クロロホルム使用
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
18 17 17 14 19 19 18 19 16 17 16 15 13 13 12 13 15 13 12 14


・考察
実際に実験をして、数々の問題点が浮かび上がってきました。まず、カバーガラスによるミジンコへのダメージが予想以上に大きかったことです。当初は、2cm四方に切り取ったカードケースにミジンコをはさんで測定する予定でしたが、カードケースの中でミジンコが泳ぎまわってしまうので、結局はこのようにしたのですが、20分後に最初の心拍数の4分の3になっていることからも分かるようにかなりのダメージのようです。今後はカードケース内でミジンコを固定する方法を考える必要があります。
第2に、双眼顕微鏡のライトによる水温の上昇です。現在、僕が使用している顕微鏡のライトは結構強く、実験中にプレパラート内の水温を上昇させている可能性があります。正確なデータをとるためには、やはり反射鏡をしようする顕微鏡を使うべきだと思われます。
今後はできるだけ数値を正確にし、もっと多くの種類の溶液について調べたいと思います。また、20分間の測定では特徴がつかみにくいため今後は測定時間も延ばすつもりです。
今回の実験データはあまり正確ではありません。よって、この実験データから各溶液の特徴を考察するのは困難です。しかし、今回の実験は今後の実験のための第一歩であると考えているので、十分に収穫は得られたと思っています。







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