春合宿 沖縄にて

はじめに

この度の沖縄合宿は、次の皆様のご支援により成功裏に終了いたしました。
ここに深く御礼申し上げます

鹿谷自然案内の 鹿谷 法一 様、鹿谷 麻夕 様
美ら海水族館の 高 英昭 様、山本 広美 様
南城市社会福祉議会の 我那覇 様

皆様ありがとうございました。謹んで御礼申し上げます
                          H2-3 永田 拳吾


沖縄合宿

今回の沖縄合宿は約一年半ぶりの校外合宿でした。合宿記は例年、部員達のハートフルな会話と様子を面白おかしく述べるといったものが通例です。しかし、今回は学習要素多めの、しかも沖縄での合宿です。したがって、例年通りの合宿の旅行記、沖縄の環境について、見つけた生物のまとめ、の三部構成としました。生研ホームページにもこの合宿期はカラー写真付きで上がっていますので、そちらも御覧いただければ幸いです。南国の雰囲気をごゆるりとお楽しみください。

PartA 旅行記

合宿1日目
朝7時起床。普段よりも一時間以上早い目覚めで、眠いことこの上ない。ゆっくりする時間もなく家を出る。 集合は神戸空港に8時半。大体全員が時間通りに到着した。 昼食を購入後、飛行機の搭乗手続きを行う。しかし、搭乗手続きの手順を勘違いして、とまどう。私を知っている人なら分かるだろうが、腰に付けた3、4つのポーチには機械類がつまっているからだ。 手続きを済ませ、9時半離陸。飛行機で酔うことはないが、あの何ともいえない不安定感は慣れない。 正午前に沖縄に到着。雨という天気は、物憂げな感じがして、趣深いものだ。雨が降るからこそ生き物は生きていけるわけで、我々は雨に感謝すべきだ、 なんていくら取り繕ったところで、フィールドワーク時に雨なんていうのはとてもじゃないが歓迎できるものではない。那覇では雨が降っていた。空港前にて、今回の合宿のサポートをしていただく鹿谷様と合流、チャーターバスにて、本日の活動場所、佐敷干潟の近くの教育施設へ向かう。雨脚が弱まってきたので、少し干潟に出てみることになった。悪天候のせいか、生き物はあまりみられなかったが、コメツキガニやミナミコメツキガニは少しいた。しばらくするとまた雨が強くなってきたので、施設内にてプレゼンテーション形式で沖縄の自然に関する講義を受けた。 講義の後、本日の宿泊地、ペンションみーばるへ向かう。午後5時半位になると雨がやんできたので、周辺の散策をすることにした。
ペンションみーばるのすぐ正面には海岸があるので、まずそこから見て回ることにした。海岸にはノッチなどの地形がみられ、オカヤドカリがうろちょろしていた。ちょうど凪の時刻だったのか、風は吹いていなかったように思う。遠目にだが、海鳥も見られた。
海岸を一通り見た後、海岸沿いに道を歩いた。やはり、本州とは植生が違うようで、グンバイヒルガオやタチアワユキセンダングサ、ニチニチソウがよく見かけられた。
散策を終え、夕食を食べた。夕食には沖縄の県魚、グルクン(標準和名:タカサゴ)や、やけにゴーヤの分量が多い、というかむしろゴーヤ炒めではないかというゴーヤチャンプルーが出た。とても健康になった気がした。沖縄では普通の食事が健康食なのではないだろうか。

食事後、夜の散策へ。といっても、すでに外は暗く、ヘッドライトをつけて外に出た。途中で見つけた作業車について、これはブルドーザーだとか、いやダンプカーに違いないとか、高校生の青春味溢れる会話を交えつつ夜の海岸を歩いた。

夜の散策後、同室の部員はまだ起きている中、よい子の寝る時間10時に就寝、というか沈没。

合宿2日目

朝5時半起床。素晴らしい早寝早起きだ。ちなみに普段は2時に寝て8時に起きるという遅寝遅起きなので、朝には弱い。目覚ましに海岸を散歩した。

朝食を済ませ、宿を出る準備をする。朝食に出た紅茶が塩辛かったことに驚いた。紅茶好きとしては許せなかったので、パンに付いていたジャムを入れて飲んだ。おいしかったが、もはや紅茶の味はしなかった。余談だが、食事に出た牛乳だとか納豆は全て沖縄産のものだった。本州から遠いため、日持ちしないものはおそらく自給自足なのだろう。

今日の午前の活動は山での散策だった。山の中では、オオタニワタリ、クワズイモ、アフリカマイマイが見られた。

(途中のやり取り)
「これはなんでしょうか?」
「それはアフリカマイマイといって、寄生虫持ってるから素手でさわらない方がいいよ」
「すいません、これは?」
「あ、それは素手で持つとかぶれるかもしれないよ」
「では、これ…」
「クワズイモといって草から出る液にさわると…」
「………」

なんというか、そういう運命なんでしょうかね?この後、生物に触れるときは鹿谷様に安全を確認してからしか触れなくなった。
<左はクワズイモ>
しばらくして、バスで移動し別のポイントへ向かった。途中に小さな川と水田があり、その周辺では多くの生物が見られた。 その後、海岸に沿って歩いた。天然記念物のナキオカヤドカリやキンセンガニ、アダンが見られた。

左はオジサンという変わった名前の魚
海岸の散策を終え、昼食をとった後、大渡海岸を目指し、バスに乗った。大渡海岸は後方礁原、イノー、前方礁原がはっきりと分かる、典型的なサンゴ礁地形だった。
ここには数え切れないほど多くの種類の生物がいて、特にサンゴの種類の多さが目立った。沖縄本島にも、まだこんなに自然の残っている場所があるとわかり、なんだか嬉しくなった。

そのせいというわけではないが、イノーの水深1m程の場所で潜ってみることにした。海パンに着替え、ゴーグル、水中カメラも装備完了。そしていよいよダイブ!

ウツボ「………」

私 「………」

ウツボ「………」

私 「………」

ウツボ「くねくね」

私 「つっっっ!!!」


慌てて水からあがった。いや、だって入っていきなりウツボだなんて、誰が想像しますか。記憶が正しければ、サビウツボの幼魚だったと思われる。後から気づいたが、所詮は幼魚、危なくなかったのではないか。気を取り直して、もう一度潜ることに。水深1mとはいえど、上からは見えないような場所に、変わった生き物が見られた。例を挙げるとオオイカリナマコ、クモハゼなどがある。また、ルリスズメダイなどの熱帯魚がサンゴの間に隠れているのも確認できた。

予想以上の収穫に満足して陸に上がると、冷たい海風が私を迎えてくれた。とてもじゃないが、耐えられないのですぐに元の服に着替えた。それから程なくして活動終了、途中那覇市のすぐ横にあるマングローブ

林を見て、沖縄ポートホテルに向かう。ステーキとか食べたいなー、とか言っていると、本当に夕食はステーキだった。驚いたが、すぐに数日前、今日の夕食はステーキハウスで採ると連絡されていたのを思い出した。私のフロッピー並の記憶力では記憶できていなかったようだ。夕食後、高一と高二は那覇市の散策に出かけた。とりあえず国際通りを目指して歩きつづけた。私と中山が場所を調べているなか、後ろで大野と笠はガンダムの話に熱中、理不尽だ。しばらくして国際通りに到着。なんというか、多国籍街という言葉があれば、まさにそれであろう雰囲気だった。適当にお土産や食料を買いつつ、歩いた。そしてこの日も風呂に入ってすぐ寝てしまった。

合宿3日目
翌日は帰るだけなので、実質活動最終日の本日。とりあえず朝食のバイキングではフライドポテトを胃に詰め込んで、ポートホテルを発つ。
リムジンバスに乗って、ビオスの丘へ向かう。
途中、「ビオスの丘つまらなそうだったらやめるか」みたいなことを、さも当然そうに顧問の宮田先生がのたまわれた。
「えっ?」
「いや、ビオスの丘よりこっちの方がええって」
と、取り出したるは泡盛の工場のパンフレット。
「発酵の勉強になるやないか」
「いや……、駄目でしょう」

鹿谷様にも同意を求めたが笑顔でスルーされた。なんだこれは、大人と子供の違いってやつなのか。
そしてそのまま泡盛に…なんてことはなく、必死の説得により、ビオスの丘へ到着。
とてもゆったりとした雰囲気で、水牛が荷台を引いて歩いていた。途中、米軍の戦闘機が上空を通り過ぎていった。やはりというか、米軍の問題は地元住民にとっては深刻なようだ。ブランコやアスレチックなどもおいてあり、植物を学ぶ場所というより、精神慰安の場所の要素が強いと思う。

二時間弱程した後、ビオスの丘を出た。
「さて、泡盛行くか」
「まだ言ってたんですか…」
というわけで泡盛の工場へ向かった。まあ、発酵の仕組みも面白いかなと思いつつ、でもこの前菊正宗の工場に行ったばかりだけど、とも思いつつ、泡盛の工場に到着。
しかし、見学には予約が必要で、しかも二時間かかるということで断念。
宮田先生は残念そうで少し気の毒だった、ですよ?


それはともかく昼食後、次の目的地、美ら海水族館へと向かった。

館内を見て回る前に、近くの海岸でフィールドワークをすることに。この海岸にも、タコ、カクレクマノミなど、多くの生き物がいた。考えてみると、横に水族館があるというのに、この生き物の種類の多さは、実は珍しいのではないだろうか?

浜辺の調査を終え、水族館の館内をまわった。基本的に沖縄に住む生き物だけで構成されていて、大水槽の大きさは半端ではなく、幻想的な空気が漂っていた。しかし、やはり自然の生き物の方がいいと思ってしまうのは、生物屋の性(さが)だろうか。
大水槽を泳ぐジンベイザメ


また、美ら海水族館では、水族館としては珍しく、深海魚の展示をしていた。圧力調整のできる装置で地上の気圧に慣れさせているらしい。

美ら海水族館を出て、宿泊地、ゆめ舎リゾートに向かう。夕食はバーベキュー。皆無駄にテンションが上がり、とても賑やかな食事となった。
食事後、今回の合宿の反省会をして、皆自分の部屋に戻った。活動を終えた部員達は猿山の猿と化し、異常なテンションで騒いでいた。そういう私も、最後の夜だからと羽目を外して遅くまで起きていた。寝たのは1時過ぎだったと思う。>

合宿4日目
みんな寝坊。まあ当然の結果というか、食事時間ギリギリに宮田先生に起こされた。食事を済ませ、リムジンバスで那覇空港へ。特にトラブルもなく飛行機に乗り、2時半頃関西空港着、解散。こうして、今年の春合宿は無事終了しました。皆さん、お疲れ様でした。


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